公職選挙法の“令和アップデート”

選挙は国民の一票がまっすぐに政治へ反映されることで初めて民主主義の根幹を成します。

しかし近年、知名度頼みの比例当選や公営費目当ての立候補など、公職選挙法の“抜け穴”を利用する例が後を絶たず、有権者の信頼は大きく損なわれています。

デジタル技術の進展により選挙ポスターやオンライン広告の影響力が急速に高まる一方、制度設計は依然として昭和期の枠組みを引きずったままです。期日前投票での本人確認の甘さなど、「公正・透明・参加しやすい」という基本原則にもほころびが生じています。

今求められるのは、選挙を“ハック”して利益を得る仕組みを放置することではなく、時代に即したルールへと刷新し、誰もが納得できる投票環境を取り戻すことです。みんなでつくる党は現行法の課題を精査し、国民ヒアリングを重ねたうえで、五つの優先課題と具体的改革プランを策定しました。「負けても納得し、勝っても誇れる」選挙制度の実現を目指します。

1|比例代表制度の悪用を防ぐ

現在の比例代表制度では政党が知名度の高い人物を看板として擁立し、当選後すぐに辞職させることで得票基盤の乏しい別の候補者を繰り上げ当選させる手法が常態化しています。こうした行為は、制度の抜け穴を突く“裏技”であり、本来の民意を反映するという比例代表の理念を大きく損なっています。国民が選んでいない人物が議席を得る構造は有権者の政治への信頼を根本から揺るがす問題です。

  • 繰り上げ当選の際には、候補者の得票数や地域での支持実績を基準に再審査を行い、形式的な繰り上げを制限します。
  • 政党が解党した場合、当該政党の比例得票は無効とし、民意の空洞化を防ぎます。
  • 戦略的な辞職や人事操作による議席確保を防ぐため、比例名簿の透明性を高め、候補者選定過程の公表を可視化します。

2|選挙公営費の透明化

選挙公営制度は、本来 経済的格差に左右されない政治参加を保障するための仕組みです。しかし近年では、公費目当てに立候補する「当選する意思のない候補」が散見され、選挙制度そのものの信頼を損なっています。こうした行為は、納税者の理解を得られず真摯に政策を訴える候補者の活動機会をも奪う結果となっています。

  • 立候補者は選挙後に支出報告書を提出し、その内訳をすべてインターネット上で公開する仕組みを整備します。
  • 第三者機関による監査制度を導入し、不正使用が発覚した場合は候補者とその所属政党に対し、公営費の一定期間停止や厳格な制裁を科します。
  • 物価の変動や地域差を考慮した公費支出の定期見直しを制度化し、実効性と公平性のある制度を実現します。

3|選挙ポスターの適正化

選挙ポスターは有権者が候補者を知る貴重な手がかりですが、本人以外の著名人の写真や感情に訴える過度な表現が、政策本位の判断を妨げる事例が増えています。視覚的印象だけで票を集める手法は、民主主義における政策論争の重要性を低下させ、公平な選挙環境を損ねています。

  • 選挙ポスターには候補者本人の顔写真を必須とし、他者の写真使用は原則禁止とします。使用する場合は、その人物の氏名・役職・関係性の明示を義務づけます。
  • ポスターの内容は事前審査の対象とし、虚偽情報や扇情的な表現を排除。審査結果は迅速かつ公開性のある形で明らかにします。
  • 審査体制の強化と、AIなどの技術を活用したチェック体制を導入し、公平性とスピードの両立を図ります。

4|立候補要件の適正化

選挙が「売名の場」として利用されるケースが増え、大量の立候補者が乱立することで、有権者の判断を混乱させています。また、経済的信用に著しく問題がある人物の立候補は、議員の資質や責任感を問う意味でも懸念されています。こうした現状は、選挙の本来の目的を損ない、制度の形骸化を招いています。

  • 自己破産をした者に対しては、一定期間、立候補資格を制限し、候補者の責任性と信頼性を確保します。
  • 政党(および政治団体)は、当選見込みを大幅に上回る人数の公認を出すことを禁止し、政策の真剣さと選挙の健全性を担保します(推薦・支援は除く)。
  • 無責任な立候補を抑制するため、供託金の制度や条件の見直しを検討し、本気の立候補と公費保護の両立を図ります。

5|期日前投票の本人確認強化

期日前投票制度は柔軟な投票機会を保障する一方で、本人確認の不備により「なりすまし投票」のリスクが指摘されています。特に、身分証の提示が任意であることから、不正を完全に排除できずに選挙結果への信頼を揺るがす要因となっています。

  • 期日前投票においても顔写真付き身分証明書の提示を義務化し、本人確認を徹底して不正を排除します。
  • ICTを活用し、受付時の身分証確認と照合を迅速化。待ち時間の短縮と利便性向上を同時に実現することで国民の政治参加意欲を向上させます。
  • 不正投票防止に特化した第三者チェック体制を設け、疑義が生じた際には記録を確認できる仕組みを整えます。